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マンガ「日に流れて橋に行く」が素敵! その内容と時代背景をご紹介

みみずく
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マンガ「日に流れて橋に行く」のご紹介です!
このマンガは明治後期の東京の百貨店が舞台。和洋の文化を織り交ぜて発展していく東京の賑わいが楽しいお話です。

「日に流れて橋に行く」はどんなマンガ?

「日に流れて橋に行く」(日高ショーコ著)はCookieにて連載中の漫画です。現在コミックスは5巻まで発売されています。

お話は明治末期の日本、主人公の星乃虎三郎が英国留学から帰国し、家業の呉服店で働き始めるところから始まります。
英国で百貨店について学んだ事を家業に活かそうと意気込む虎三郎ですが、店に帰ってみれば店員の表情は沈み、建物は古く、西洋式の豪華な建物に建て替えた周囲のライバル店と比べると明らかに時代に取り残されています。
日本に帰れば店の皆が歓迎してくれると思っていた虎三郎はがっかり。しかし店員の態度には理由がありました。
主人公が英国留学中に店を切り盛りしていたのは彼の兄ですが、その間に店は評判を落とし、財政状況もすっかり傾いていたのです。店員達は店主への信頼を失い、その弟である虎三郎に対しても期待はできなくなっていたのでした。
それにもめげずに下足番から仕事を始める虎三郎ですが、ある日事件が起こります。店主が店の金を持って失踪したのです。信頼し尊敬する兄が何故そんなことを? ここから、虎三郎の店の再興と兄探しが始まります。

もう一つ、このマンガには物語の軸があります。そちらの主人公はこの店で初の女性店員となる娘、卯ノ原時子。女学校を出たものの、結婚も決まらず家にいます。
彼女の趣味は百貨店のカタログをスクラップして自分好みのカタログを作ること。それと背の高いのが悩みです。そんな彼女を店員としてスカウトするのが、虎三郎の英国留学時代からの友人、鷹頭玲司です。「背が高くて洋装が似合いそうだから」たったそれだけの理由でスカウトされた彼女ですが、やがて彼女の個性は店になくてはならないものとなっていきます。

「日に流れて橋に行く」を理解する3つのポイント

舞台は明治大正期

物語の始まりは明治44年。明治は45年までですから、まもなく大正時代に入るところです。この頃の東京と言えば、西洋風の建物と江戸時代からの建物が混在し、鉄道や人力車が走り、裕福な家庭には電話が存在する時代。そんな華やかさの一方で、徴兵制といった厳しい制度も存在する時代です。
長男は家を継ぎ、逆に次男以下は養子や奉公に出るのが当たり前。女性は嫁に行き子供を産むのが第一の務めとされました。しかし時代は着実に進んでおり、時子のようないわゆる職業婦人の原型になるような女性も現れ始めた時代でした。 平塚らいてうが婦人解放運動の雑誌「青鞜」を創刊し、「元始女性は太陽であった」と発刊の辞を寄せたのは、ちょうどこの物語が始まる明治44年の事です。

当時流行のファッションの事

国を挙げて西洋文化を取り込んでいた鹿鳴館時代はとうに過ぎた後ですが、市井の人々は着物が一般的でした。柄の着物に大きなひさしの束髪が人気の時代です。年配の女性は江戸時代のような丸髷でした。
明治38年創刊の婦人画報によると、この時代は皇族の方々から政財界のご婦人へと、洋装が広がっていった時代だそうです。モダンガールが登場するのはもう少し後の時代です。

労働事情を理解しよう

百貨店が舞台とあって勤め人が多く出てくるこのマンガですが、仕事の仕組みは今とは違います。ちらほらとサラリーマンの原型になるような働き方も出てきた時代だそうですが、商家では江戸時代から続く奉公人制度が続いており、十代から住み込みで働くのが当たり前でした。

「日に流れて橋に行く」からくりみみずく的楽しみ方3点

とにかくファッションが素敵!

男性の洋装、和装にカンカン帽or鳥打帽、竹久夢二の美人画のようなファッションスタイルの女性、バッスルからの脱コルセットドレス……とにかく作中のファッションがおしゃれすぎる!!
絵がとても丁寧なので、存分に時代のファッションを堪能できます。

鷹頭礼司、失踪した兄在寅、ライバル百貨店の社長……登場人物達が抱える闇が気になる

基本的なストーリーは、呉服店から百貨店への明るい変革ストーリなのですが、なにやら事情を抱えたような登場人物が多く存在します。メインキャラクターの一人である鷹頭玲司を始め、主人公の兄在寅、ライバル店日越の社長、過去に事情ありげな大番頭の牛島さん……。
彼らのストーリーがどのように物語の大筋に絡むのか、この先が気になります。

小物売り場の同僚二人、次男夫婦、虎三郎と幼馴染番頭……登場人物達の関係性にほのぼのする

時子と同時入社の女性社員、坂巻千鶴。彼女が配属された小物売り場にはもともと男性社員(便宜上「社員」と言いますが、上に書いたとおり会社員とはちょっと違います)がいて、彼はなかなか千鶴の事を認められずにいました。それが最近ちょくちょく二人でいる。仕事ができる美男美女カップルは眼福です。
養子に行った先の娘と結婚した、虎三郎の次兄の夫婦もかわいらしい。またカップルではありませんが、虎三郎と幼馴染番頭五十雀のやりとりも、厳しさのなかにほのぼのした雰囲気が見えます。素敵!

まとめ

「日に流れて橋に行く」とは

・作者は日高ショーコ。集英社のマンガ誌クッキーにて連載中のマンガである。
・2021年4月現在コミックスは5巻まで発売されている。
・明治末期が舞台のマンガである。
・主人公は落ち目の老舗呉服店を再興しようと奮闘する御曹司だが、周囲の人物も丁寧に描かれており群像劇として楽しめる。
・文明開化~大正浪漫なファッション文化を楽しむことができるマンガである。

みみずく
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琵琶楽が人気だった時代とも重なるので、琵琶弾き的にも楽しいです!

※時代を理解する1冊